「光の道」の絵が教えてくれた、心のままに正直に描いていいということ

F100号 光の道 屋久島 朝日 油絵 向井晶子

絵を描くことへの決意

私は2008年に屋久島へ移住し、リモートでデザインの仕事をしながら、早朝の弁当屋でアルバイトをし、合間に絵を描く生活をしていました。しかし、ある時「絵だけで生きていく!」と決意し、アルバイトを辞め、創作に専念する道を選びました。

F100号 光の道 屋久島 朝日 油絵 向井晶子

その決意を胸に描いた一枚が 「光の道」(2015 F100 1,620×1,300mm です。

迷いと衝動「好きな絵を描いていいのか?」

この大きな絵を描き始めるとき、ふと頭をよぎったことがあります。

「こんな大きな絵、買う人いるかな? 絵で生計を立てるなら、小さな作品を描いた方がいいかも
という不安でした。

でも、それ以上に 「この朝日を大きなキャンバス描きたい!」 という強い衝動がありました。その気持ちに正直に従い、制作を進めることにしました。

明石市立文化博物館での個展ミラクルな開催

屋久島に生きる 明石市 屋久島  向井晶子

この作品は、2016年に開催された 明石市立文化博物館での個展 のために描いたものです。体育館ほどの広さの会場で、明石文化芸術創生財団(現:明石文化国際創生財団)の全面的な支援のもと実現しました。(この個展が開催されるまでのエピソードは別記事で詳しく書きました。)100点以上の作品を展示。

屋久島に生きる 向井晶子絵画展 F100号 光の道 屋久島 朝日 油絵 向井晶子

 

予想通り売れなかった大きな絵しかし

個展開催中、小さな絵はいくつか売れましたが、やはりこの 「光の道」 は売れませんでした。

「やっぱり」と少し落胆したものの、それでもこの絵を描いたことへの後悔はありませんでした。

しかし、個展が終わって数日後、一人の女性から連絡がありました。

「この絵が忘れられません。購入したいのですが、一括で支払うのが難しいので、分割払いにしてもらえませんか?」

私はしばらく考えた末、

「お申し出は大変嬉しいですが、申し訳ありませんが分割には対応しておりません。」

とお断りしました。

内心、

「この機会を逃したら、この絵はいつ売れるかわからないな

とも思いましたが、分割でのお渡しのタイミングや、途中で何か起こる可能性を考えると、どうしても分割払いを受け入れる決断ができませんでした。

奇跡の展開「この絵があると仕事を頑張れる」

すると、さらに数日後、その女性から再び連絡がありました。

「やはりこの絵をお迎えしたいです。考え方を変えました。この絵と共にいることによって、私は仕事を頑張れます。一括で購入します。」

驚きました。

その方は特別裕福なわけでも、私の友人でもありません。ただただ、 この絵に心を奪われ、響き合ってくださった方 でした。

その瞬間、私は 「好きな絵を好きなように描いていいんだよ」 という生命からのメッセージを受け取ったような気がしました。

F100号 光の道 屋久島 朝日 油絵 向井晶子
F100号 光の道 と 銀ちゃん

「妥協せず、計算せず、本当に描きたいものを描く」

この経験を通じて、私は 妥協せず、計算高くならず、本当に描きたいものを描く ことを大切にしようと決めました。

私の作品は、 生命の源が現れたがっている形 を、できるだけ無垢なまま表現したいという思いで描いています。

絵を迎えてくださった方への感謝

「光の道」を迎えてくださった方には、今でも深く感謝しています。

私が絵を描いてゆくとき、ぶれそうになったとき、いつも思い出すのです。

「自分に嘘をついて絵を描いても仕方ない、自分に正直に描くんだ。そうしたら必ず、それに響き合ってくださる方が現れる」

その方と、年賀状のやり取りも続いており、作品がその方の元でどのように存在しているかを知ることができるのは、とても幸せなことです。

私は 過去に描いた絵も今の自分の状態を反映する と思っています。だからこそ、 絵を迎えてくださった方の空間に良いエネルギーが流れるように、自分自身を常に整えていたい と考えています。

まとめ自分に正直に描くことの大切さ

この経験を通じて、私は 「描きたい絵を描きたいように描く」ことが、何より大切 だと確信しました。

売れるかどうかを考えて描かない 自分の内側から湧き上がる衝動を信じる 作品と響き合う人が必ずいると信じる

 

「好きな絵を描き続けることは、勇気のいることかもしれません。でも、自分を信じて描き続けてほしい。」
この言葉は、私自身へのメッセージでもあります。

そうすることが、すべての幸せにつながると信じています。

これからも、 生命の源が生み出したがっている形 を、大切に描いていきたいと思います。